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不倫

 

 

男  秀明

女1 弘子

女2 美樹

 

 

 

男  今日集まっていただいたのは他でもありません。重大なお知らせを2人にしたいと思います

 

女2 弘子まで呼んで、仰々しい事言うだけの内容あるんでしょうね?

 

女1 そうよー。二人は一緒に住んでるんだからいいだろうけど、こっちは休み潰してまで来てるのよー?

 

女2 ごめんねーこのバカ思い付きで動くからさぁ

 

女1 うんうん、美樹も大変よねぇ、いっつもその思いつきに振り回されるんだから

 

女2 まぁ、私は慣れてるからいいけど、弘子にはホント申し訳ないわー。

こっちは専業主婦みたいなもんだからいいけど、弘子はまだ独り身だし

 

女1 いやいや、主婦だって色々やる事いっぱいあって大変でしょー。まだ子供がいないからマシかもだけど

 

女2 いやいやいや・・・

 

男  もういいよ!支払い譲り合うおばちゃんか!

 

女2 うるっさいわね!じゃあとっとと話しなさいよ!私達これから二人で買い物行くんだから!!

 

女1 そうよー!休みに家でゴロゴロしてるだけのおっさんとは違って忙しいんだから!

 

男  お、俺だって色々予定が・・・・

 

女2 へー。予定?どんな予定が?パチンコ行く以外の予定ってやつを言ってご覧なさいよ

 

男  ぐっ・・・っつか、お前は旦那がおっさんとか言われてるんだから、フォローとかねぇのかよ!

 

女2 パチンコにしか行かないからって、私服がほぼジャージになった人をフォローなんてムリよ

 

女1 え!?そうなの?

 

女2 そうなのよー。服見に行ったって、いっつも同じようなのしか選ばないし、

   私がこれいいんじゃない?って言っても「最近の服の流行は俺には合わない」とか何とか言うしー

 

女1 あー、それはダメねー。完全におっさんになっちゃってるわねぇ。もうちょっと気ぃ遣ってもいいんじゃない?

 

男  今日はちゃんとしてるだろうが

 

女1 あー、まー・・・いつもの感じには、ちゃんとしてるかなー

 

女2 代わり映えしないいつものやつね

 

男  うるせぇ!ほっとけよ、っつか誰が見るわけでもないからいいんだよ

 

女1 あーあ、ソレがおっさんだって言うのよ。秀明、いつも同じ格好の女の子見たら、何か思わない?

 

男  飾りっ気ないなぁ、とか思うかな

 

女1 そうでしょー?女の子だって男の人見てそう思ってんだから。

 

男  そう言われると・・・

 

女2 そこまで言われないと気付かない時点でもうダメなのよ

 

男  返す言葉も無い

 

女1 素直なのはいいとこなんだけどねー

 

女2 そこまで追い詰めるのが大変なのよ。その辺弘子は上手いわねー

 

女1 伊達に、会社で男共を纏めてないわよ♪

 

女2 そんな男ばっかりなんだったら、早くいいの捕まればいいのに

 

女1 今んとこ、あんまり考えられないのよねぇ

 

女2 早く4人でどっか行けたりしたら楽しいのに

 

女1 うん、まぁ、そのうちね。それより話って何なのよ。

 

女2 そうよ!早く話しなさいよ!

 

男  いや、完全に俺から話せる流れじゃなかっただろ。

   こんだけ人の心ボコボコにしておいてどの口が言うんだよ・・・・

 

女2 はぁ!?

 

男  いや・・・その・・・すいません

 

女1 あはは。元々関白タイプでもないとは思ってたけど、ここまで完全に敷かれてるとはねー

 

男  こんなハズじゃなかったんだけどなぁ・・・・

 

女2 こいつが弱すぎるのよ

 

女1 でも仲良さそうで羨ましいわ

 

男  コレを仲がいいって言うのか・・・・

 

女2 あんたがシャキっとしないからでしょうが!いいから早くしなさいよ!

 

男  解ったよ~・・・・

 

女1 ふふふ

 

 

 

男  話というのは他でもない。実は俺・・・・浮気してるんだ

 

女2 え

 

女1 ちょっ・・・

 

男  その浮気相手というのが、他でもない、弘子なんだ

 

女12 ええええええええええええええええええええ

 

男  この事について話し合いたいと思って、今日この場を設けました!

 

女2 いや、え、あの・・・・なにこれ・・・?

 

女1 あんたは何をいきなり言い出すのよ!!

 

男  いきなりじゃない、ずっと考えてた事なんだ

 

女2 弘子・・・・ホントなの・・・・?

 

女1 え、いや~、それは~・・・

 

女2 ホントなのね・・・・?

 

女1 う・・・・うん・・・

 

女2 ・・・どういう事なのか、説明してもらえるんでしょうね?

 

女1 それは・・・・

 

男  弘子からは話し辛いだろうから、俺から説明しよう

 

女2 なんであんたは悪びれも無く仕切ってんのよ

 

男  元々その為に俺が呼んだはずなんだけど・・・

 

女2 それはそうだけど、浮気よ?不倫よ!?しかも相手があたしの親友とか、笑えないにも程があるでしょ

 

女1 ・・・ごめん・・・・

 

女2 弘子も弘子よ。よりにもよって、何でこいつなのよ!

 

男  だから、ちゃんと説明するから

 

女2 説明されたからって、納得できるって話じゃないでしょ!?バカじゃないの!?

 

男  別に納得してくれって言ってるんじゃないんだ。ただ、これからどうするかは話を聞いてから判断して欲しい

 

女1 もういいよ!あたしが悪かったんだから、もう近づかないようにするから!

 

女2 そういうことでもないでしょ!?あたしは信頼すべき親友と夫、両方から裏切られたって事なのよ?

   許せるはずないじゃない!?

 

女1 そう・・・だよね・・・。ホントに、ごめん・・・・

 

女2 ・・・もう、謝ってもしょうがないわよ・・・?

 

男  とりあえず説明するから、落ち着いて聞いてくれないか?

 

女2 何を言われたところで、どう変わるって訳でも無いとは思うけど、一応聞いてあげるわ

 

女1 じゃあ、あたしから話すわね

 

男  待てよ、辛いだろ?俺から話すって

 

女1 でも、美樹にはちゃんと説明したいし

 

男  それなら尚更、立場的に俺から話した方がいいだろう  

 

女1 でも、秀明だって

 

女2 あー!!!もう!!!何なのよ!!!ぶっちゃけた途端二人でイチャコラしてんじゃないわよ!!!

 

男  別にそういうんじゃないって

 

女1 そうよ、そんなんじゃないの

 

女2 今度は二人で庇い合いですか、仲がおよろしゅうございますわねぇええ?

 

男  なんだよ、カリカリしやがって。更年期か

 

女2 あぁ!?ここまで馬鹿にされて、まだ話を聞こうとしてる嫁に向かって言ってくれるじゃないの?

 

男  あ・・・いや・・・うん・・・すまん

 

女2 解ったらとっとと話しなさいよ

 

男  ああ。事の起こりは2ヶ月前、俺と喧嘩してお前が出て行った時だ

 

女2 そんな事もあったわね。それで?鬼のいぬ間に、親友連れ込んでよろしくやった訳?

 

女1 違うの!!確かにきっかけはその日だったけど、その時は何も無かったの!!!

 

女2 その時「は」!?

 

女1 あ・・・

 

女2 まぁ、いいわよ。浮気してたって事は当然そういう事をしてたって事だろうし

 

男  そうだな。何を言ってもソレは事実だし言い訳のしようも無い

 

女2 なによ。もう開き直るって訳?じゃあ話は終わりね。離婚の準備してくるわ

 

女1 待ってよ!まだ全然本題に触れてもないんだから!

 

女2 旦那が親友と浮気してました!それ以上何かある!?見苦しい言い訳を延々聞いてろっての!?

 

女1 結果的にそうかもしれない!それでも、最後まで聞いて欲しいの!!・・・お願い・・・!

 

女2 ・・・!解ったわよ、とりあえず最後まで聞くわ

 

男  俺から言うのもなんだが、途中でキレないで最後まで聞いてくれな?

 

女2 何度も言わせないで。弘子がそこまで言うからには、それなりに何かあるんでしょ

 

女1 美樹・・・ありがとう・・・

 

男  俺の言う事には何もなしか・・・まぁいい、続きな。喧嘩する事なんか別に珍しい事じゃなかったし、

   そんなに弱い女じゃないってのは百も承知だったけど、それでも出て行くなんて事は今まで無かったからな。

   真っ先に行くだろうと思ってた弘子のところにも連絡した。

 

女1 もし、あたしのところに来たら、話を聞いてなだめておいてくれって。

 

女2 そんな事何も言わなかったじゃないの

 

女1 言える訳無いじゃない。そんなの火に油でしょ?それに・・・

 

男  お前は散々愚痴ってすっきりして帰ってきたが、弘子は弘子で色々考えてたんだよ

 

女2 何であたしに言ってくれなかったの?

 

女1 言える様な状況じゃなかったしね

 

女2 そりゃそうかもしれないけど

 

女1 言えるような話でもなかったし・・・

 

女2 ふーん。親友にも言えないようなことを、こいつには言っちゃうんだ

 

男  そこがこの話のキモなんだよ

 

女2 どういう事よ

 

男  なんだかんだ言って弘子も、親友って呼べるのは美樹だけでさ。でも、一人モンと既婚者じゃ何かとあるだろ?

 

女2 あたしはそんな事気にしないわよ?

 

男  弘子が気にしてるっつってんだよ

 

女2 そりゃ、まぁ・・・。でも、そんな素振り一度も見なかったわ

 

女1 あたしだって、そこまで深く考えてた訳じゃないの。でも、秀明に言われた事が引っかかって

 

女2 やっぱりあんたが悪いのね!

 

男  誤解だっつの!むしろお前の方が原因だ!

 

女2 あたし? 

 

女1 バカッ・・・!!!

 

男  そうだよ!俺は何気なく言っただけなんだ。いつも付き合せて悪いなって

 

女2 ?ソレのどこが問題なの?

 

女1 二人とも悪くないのよ。あたしが悪いの。他愛ない事を深く考えちゃったから

 

女2 どういう事?

 

女1 あたしね、仕事ばっかがんばってて、いつの間にか結構長い事彼氏もいなくて、

   気付いたらプライベートで絡む男って秀明だけだったの

 

女2 会社なら周り男ばっかりだって言ってたじゃない

 

女1 そりゃ性別的な男はいっぱいいるわよ?でも、会社の人間には弱いところ見せたりできないじゃない。

   地位か体しか狙ってない男しかいないのよ

 

女2 だったら、休みにでも・・・・って、そこで繋がるのか・・・

 

男  そういうこと。お前が休みのたんびに連れ出すから結局は女子会で終了。男漁りに精を出す暇も無く

 

女1 そういうこと言わないでよ!なんか日照ってるみたいじゃない!

 

男  実際そうなんだろ?

 

女1 そうだけど!もうちょっと言い方ってもんがあんでしょー!

 

男  逆ナン、婚活、出会い系、何を言ってもそんなに大差ないと思うけどなぁ

 

女1 それは・・・!!そうだよね・・・・

 

女2 とりあえず、あたしのせいってのは解ったけど、よりによってなんでこいつなの?

 

女1 ・・・言ったでしょ?プライベートで、つまり、素を出せる男って気が付いたら秀明だけだったの。

   秀明に言われた事を考えて、それに気付いた時にはもう・・・手遅れだった

 

女2 こいつのどこがそんなにいいんだか

 

男  それが嫁の言う台詞か?

 

女2 だってそうじゃない。男としての魅力なんてどれだけ残(ってるって

 

女1 だったらあたしに頂戴よ!

 

女2 え?ちょっと・・・

 

女1 今までだって散々いらないだのなんだの言ってるんだし

 

女2 何言ってるの!?

 

女1 いいでしょ!?立場的に言えなかったけどそれももうバレちゃったし

 

女2 何それ、開き直り!?大体、秀明に悪態ついてるのなんて、弘子だって一緒じゃない!

 

女1 それはほら、愛情の裏返しって言うか親愛の情っていうか

 

女2 あ、あたしだってそうよ!

 

女1 へー、ほー、ふーん

 

女2 なによ!?悪いの!?

 

女1 じゃあ秀明のいいところも言ってみてよ

 

女2 え・・・

 

男  そこで止まられるとものすごい居心地悪いんだけど

 

女2 うるっさいわねちょっと黙ってなさいよ

 

男  俺、そんなに口出してないと思うんだけどなぁ・・・

 

女2 いいから黙ってなさいよ!

 

女1 ほら、言った先からそんな扱いじゃない、あたしならそういう時にだってちゃーんと愛情もって接してあげられるもの

 

男  そうだよなぁ、なんだかんだ言っても優しいからなぁ弘子は

 

女2 (睨む)

 

男  う・・・あ・・・(◞‸◟)

 

女1 ソレ!そういう、なにもかも上から押さえつけようとするところ。

   男ってあんまり抑え付けようとすると逃げちゃうものよ?

 

女2 結婚もできないくせにうるさいわよ!大体、弘子だってさっきまでのしおらしい態度は何だったのよ!?

 

女1 あたしは美樹ともこれからも仲良くしたいし、おとなしく納めようと思ってたんだけど、いい考えが浮かんだの

 

女2 なによいい考えって。

 

女1 あたしが秀明と結婚すれば、これからもこの3人で変わらずにやっていけると思うの!

 

女2 なによそれ!あたしはどうすんのよ!?

 

女1 美樹はモテるんだもん、すぐに新しい人見つかるでしょ?

 

女2 そんな訳ないじゃない!あたしだって秀明以外の人なんて考えられないわよ!

 

男  その割には扱い軽いんだよなー・・・

 

女2 秀明!?

 

女1 ほーら、その点あたしは仕事での大変さも解ってあげられるしー

 

男  そうだなぁ、細かい事はぐだぐだ言わずに流してくれるし

 

女2 そんな・・・だって・・・

 

女1 なんだかんだ言ってあたしも気心知れてて気楽だし

 

女2 ちょっと待ってよ・・・

 

男  確かに、いい考えかもなぁ

 

女2 やだ・・・

 

女1 でしょー?

 

女2 や・・・だぁ・・・

 

男  そうしよっか

 

女1 って言う事で、よろしくね、美樹

 

女2 (泣きながら)やだ~・・・やだよ~・・・いかないでよ~・・・こんなのやだよ~

 

   間

 

女1 これくらいでいいかな?

 

男  まぁ充分じゃないかな

 

女2 え・・・?

 

男  ちょっと効き目が強すぎたかな?

 

女2 ちょ・・っと・・・どういう事・・・・

 

女1 ごめんねー全部お芝居だったの

 

女2 へ・・・?

 

男  そういうこと。俺が弘子に頼んでな。一芝居打って貰った

 

女1 まさかここまで騙されるとは思ってなかったんだけど・・・。あたし女優目指そうかしら?

 

男  その歳からか?やめとけやめとけ

 

女1 ひどいわねー、結構イケると思うんだけど

 

女2 ちょっと!!!・・・どういう事・・・?

 

女1 だから、お芝居だったの

 

女2 どこから・・・?

 

男  最初からぜーんぶ。ちょっと美樹の行動が目に余るようになってたから、お灸を据えてやろうと思ってな

 

女1 正直、話を聞いてて秀明にも同情の余地があるわーって、女の立場から見ても思えちゃったからねー。

   協力してあげたの。ごめんね

 

女2 なによ・・・それ・・・なによそれ・・・・なによそれ!!

 

男  悪かった・・・。でも、最近はお互い解ってるって感じで、なあなあにしてる事が多くなってきててさ。

   ちょっと振り返ってみてもいいと思ったんだ。相手の事をちゃんと考えてた頃を

 

女1 二人の事こんなに真剣に考えてる秀明が、よりにもよってあたしと浮気するなんてあるはずないでしょー?

   そんな事もわからなくなってたって気付きなさいよ?

 

女2 ひどいよ弘子・・・でも・・・ありがとう

 

女1 仲良くしなさいよね、これからも2人と遊びたいんだから

 

女2 うん・・・

 

男  さて、飯でも食いにいくか

 

女1 そうねー、慣れない事したらお腹空いちゃった

 

女2 まって、なんか納得いかない

 

男  は?

 

女1 どしたの?

 

女2 気持ちはすっごい伝わったけど、騙されっぱなしってのがどうしてもおさまらない!!

 

女1 そんな事言ったってどうするのよ?

 

女2 あたしも浮気してやる!!!

 

男.女1 ええ!?

 

女2 ・・・・なんてね♪

 

男  ・・・!なんだよ~・・・

 

女1 もう~やめてよ~

 

女2 あははは。これでチャラって事で♪

 

女1 (小声)残念・・・

 

男  ん?どうした?

 

女1 なんでもないわよーぅ 

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