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就職活動

 

 

   居酒屋

 

男 おー、こっちこっち

 

女 ごめーん、遅くなっちゃって

 

男 いいよ、就活忙しかったんだろ?

 

女 そうそうー、もう就職率上がったとか絶対嘘だよねー。どんだけ面接受けさせるのよって話よ

 

男 そりゃお疲れさん。で、どうだったの?

 

女 ふふーん!やっと決まったのよー!

 

男 おお!やったじゃん。これで報われるってモンだな

 

女 長かったわー・・・来る日も来る日も履歴書を書き続ける日々・・・。

 

男 まぁ、それももう終わりって事だし、良かったジャン

 

女 ありがとー。今日は飲むわよー!

 

男 おう、飲め飲め!そんで、どういう会社?

 

女 うん悪の秘密結社って言うんだけど

 

男 え・・・

 

女 あ、すいません、生ひとつー

 

男 いや、ちょっと・・・

 

女 ああ、ビックリよねー。悪の秘密結社ってハローワークに求人出すのねー。

 

男 ハロワ・・・!?

 

女 やっぱり危険な仕事なだけあって、労災が中々おりないーとか条件的にはちょっと厳しい面もあるんだけど

 

男 ちょっと待て!その会社・・・って言うのもなんか違う気がするが、大丈夫なのか!?

 

女 え?大丈夫よー、その他の待遇とかは結構しっかりしててね・・・

 

男 じゃなくて!その前に色々あんだろーが!

 

女 その前・・・あ、当然株式よ!

 

男 違ぇよ!そうでもなくてよ!

 

女 一部上場よ!

 

男 え、マジで?

 

女 ホント、ホントびっくりよねー

 

男 じゃねぇよ!!最初にもっとあんだろが!

 

女 他に何かあるっけ?

 

男 「悪の」とかついてる時点で問題あんじゃねぇの!?

 

女 名前で判断しちゃいけないわよー。悪役商会なんてのもあるんだし

 

男 それとこれとは話が別だろ!大体なにやってる会社なんだよ?

 

女 んー、主な活動内容としては地球征服を目指して色んな施設なんかを・・・

 

男 思いっきり悪だよ!!悪そのものだよ!

 

女 管理運営ってのが主だった事業内容なんだけど。

 

男 え!?まとも・・・?

 

女 噂では他の会社の乗っ取りとかもしてるみたいだけど

 

男 いや、むしろそっちが本業だろう、しかもぜったい正規のやり方じゃねぇ

 

女 まぁ、大きい会社とかだと裏取引とかもあるんじゃない?

 

男 そういうんじゃなくて、力づくだろ!

 

女 力づくって・・・

 

男 悪の秘密結社だろ?悪モンだろ?幼稚園バスとか人質にしちゃうんだろ?

 

女 え、そうなの

 

男 いや、俺も良くはしらねぇけど、世間一般的にはそういうもんじゃね?

 

女 そんなことしてたんだ・・・・

 

男 普通は名前聞いた時点で、なんか考えるだろ・・・

 

女 あのね・・・実は・・・・

 

男 まぁ、とりあえず就職すんのが第一だったんだろうけどさ

 

女 違うの!実はね、お父さんが働いてたの

 

男 親父さん?あれ?でも親父さんって・・・

 

女 そう、会社の事故で・・・

 

男 だったら尚更、なんでそんな会社に・・・

 

女 だからなの!だからこそ・・・お父さんの意思を継ぎたくて・・・

 

男 親父さんの・・・意思・・・

 

女 お父さんね・・・あの会社の幹部だったの

 

男 そんな偉い人だったのか・・・

 

女 海洋部門のトップでね、地球上の全ての海の支配者になるって

 

男 やっぱりその方向かよ!

 

女 海賊王に俺はなる!

 

男 それはルフィにまかせておけ

 

女 あー、ルフィと戦う事になったら、勝てる気しないわー

 

男 いねぇから。グランドラインも新世界もねぇから。

 

女 じゃあ、問題ないわね!海賊王に俺はなる!

 

男 普通に海軍とかいるからな?どうやって倒す気だ?

 

女 幹部になって怪人にしてもらえばなんとかなるかなーって

 

男 怪人!?っつかお前、知らねぇフリしてたけど、会社の概要を把握してんじゃねぇか

 

女 え!?・・・・(口笛)ふしゅーふしゅふしゅー・・・

 

男 解り易過ぎて突っ込む気にもならんぞ。そもそも親父さんの会社だったんだから、知らねぇわけねぇだろ

 

女 違うの!お父さんからは何も聞いてなくて、すごいいい会社だって思ってたの・・・

 

男 今はもう気付いてる訳だ?

 

女 そりゃ・・・悪のとか付いてるし・・・秘密結社だし・・・

 

男 そこまで解っててなんで

 

女 そうなんだけど・・・それでもお父さんのできなかった事をしてあげたくて・・・

 

男 怪人になってまでか?

 

女 うん・・・・

 

男 でも親父さんだって結局怪人になってもできなかったんだろ?

 

女 それはそうなんだけど・・・

 

男 そんなの無理だよ

 

女 やってみなきゃわからないじゃない!少しくらい応援してくれたっていいでしょ!?

 

男 自分の彼女が怪人になるって言ってるのを応援する彼氏がいるか!

 

女 なによー!

  世界中の誰よりも好きだーなんて言っておいて、ちょっと改造されたくらいでもう嫌いになるって言うの!?

 

男 俺は人間として人間を好きだって言ってんだよ!怪人は範疇外だよ!!

 

女 何言ってるの!?怪人にだって人権あるんだから!!

 

男 いや、ねぇだろ!

 

女 あるわよ!お父さんがどうやって暮らしてたと思ってるの!?

 

男 あ・・・・そうか・・・・

 

女 ほーらどーう?私の勝ちのようねー?んんー?

 

男 悪かったよ・・・

 

女 んんー?声が小さいですなぁ?

 

男 うぐぐg・・・・悪かったよ!俺が悪かった!すいませんでした!!

 

女 ふふん♪

 

男 何勝ち誇ってんだよ・・・それについては俺が悪かったけども、実際に問題だってあるんじゃないのか?

 

女 何が?

 

男 ・・・改造して怪人になったらそんなに会えなくなるんじゃないのか?

 

女 あー、まぁ、確かにお父さんも改造されてからは滅多に家に帰ってこなくなったわねー

 

男 ほら見ろ、結婚とかしてそんな事になったらどうすんだよ?

 

女 大丈夫!産休とかはキチンと取れるから心配しないで!

 

男 その前に、子供を作れる体かどうかを心配しろよ!お前はよ!

 

女 あー・・・・・あーあーあー♪

 

男 なんだよ・・・

 

女 そういう事かー、もー心配しちゃってー♪

 

男 やっと解ったかよ・・・・

 

女 ちゃーんと下だけは未改造にしてもらうから心配しないでっ♪

 

男 誰が下ネタに繋げろって言ってんだよ!いい加減にしろ!!

 

女 ありがとうございましたー!

 

男 漫才じゃねぇから・・・!(ため息)

 

女 ・・・心配してくれてるのは解るんだけどね

 

男 親父さんのできなかった事をしようっていうのは偉いと思うよ。

  だからって何も改造とかそんな事しなくてもいいだろうよ・・・・

 

女 んー、やっぱりお父さんの事尊敬してるんじゃないかなー。

  全然喋らなかったけどすっごく大きな背中がかっこよくて

 

男 まぁ、そういう憧れは解らんでもないが・・・

 

女 真っ赤で硬くて足が8本あって

 

男 あ・・・?

 

女 おっきいハサミがすっごく強そうで、きっと海の1番になるんだーって

 

    男机を叩く

 

女 なにどうしたの?

 

男 ・・・・もしかして・・・お前の親父さんって・・・・カニ怪人か?

 

女 ええ、そうよ?言ってなかったっけ?

 

男 聞いてねぇよ・・・よりにもよってカニ怪人・・・・

 

女 ねぇ・・・どうしたの・・・・?

 

男 ・・・・しょうがない・・・もう話すしかないだろう

 

女 何の事?

 

男 落ち着いて聞いてくれ

 

女 なによー、改まってー

 

男 実は俺もお前に話してない事がある。今日のお前の話に関係する事だ

 

女 え?だって今日の事って言ったって、悪の秘密結社の事もお父さんの事も知らなかったんでしょ?

  それ以外で今日話した事ってあったっけ?

 

男 その両方の事だよ

 

女 両方?え、なんで?・・・もしかして知ってたの?

 

男 ああ・・・もっと言えば、かなり深い関係にある・・・

 

女 えぇっ!

  ・・・・そんな・・・・そんな・・・お父さんと深い関係だなんてええええ!!!

 

男 お約束をかますな!!

 

女 えー、違うのー・・・・?

 

男 なんで残念そうなんだよ・・・ま、いい、続けるぞ。

 

女 その道を全うする気なのね

 

男 そっちじゃねぇよ話の続きをするってんだよ

 

女 はーい

 

男 いや、ホントにマジでこれからの二人にとって大事な話だからちゃんと聞いてくれ

 

女 わかったわよ・・・で、なんなの?

 

男 実は・・・

 

女 えええええ!!!

 

男 まじめな話なんだって!!

 

女 なんか、話し辛そうだったから、空気を軽くしようかと思って

 

男 確かに話しづらい事ではあるんだが、そんなに軽くいう事でもないぞ

 

女 私と貴方の仲じゃない、何でも言ってよ

 

男 ああ・・・だが、お前にとっちゃとてもじゃないが、いい話じゃない

 

女 私にとっては?

 

男 そう、お前にとっては、だ・・・・

 

   

    間

 

 

女 ・・・大丈夫、何言われても驚かないから

 

男 ああ、すまん。実は・・・・

 

女 ええええええええええ!!!!

 

男 お約束にも程があんだろ!しかも2回目だ!!!

 

女 テンドンは3回が基本よ!

 

男 聞いてねぇよ!!

 

女 折角びっくりしないように、後一回はあるって教えてあげたのに

 

男 まだやる気か!!

 

女 お笑い的にはやっとかないと気持ち悪くない?

 

男 むしろ、話の腰折られてばっかの今の方が気持ち悪いわ!

  ・・・頼むからちゃんと聞いてくれよ~・・・

 

女 解ったわよぅ・・・でも、浮気とか子持ちとかいう話以外なら、

  どんな秘密でも私はちゃんと受け止めるわよ。

  それくらいの気持ちで付き合ってるんだから。

 

男 お前・・・

 

女 ふふ♪

 

男 重い女だな・・・

 

女 ちょっと!何言ってんの!?

 

男 いや、付き合う時点でそれって男的にはちょっと重いと思うんだが・・・

 

女 おかしくない!?今の流れって、

  こんな包容力あふれる彼女に対して、覚悟を決めて秘密を打ち明けて、

  二人はより深い絆で結ばれてハッピーエンド!!って流れだったでしょ!?

 

男 まぁ、そうなったらそれでいいんだけど、

  つい、感想というか本音というかが・・ポロっと・・・

 

女 へー!そう!それが貴方の本音ってわけね!!もういいわよ!どうせ重い女ですよ!

 

男 悪かったって・・・

 

女 もう・・・

 

男 じゃあ、いくぞ

 

女 なんでもきなさい

 

男 ・・・・・

 

女 なによ?

 

男 いや、テンドンの3回目が来るんじゃないかと・・・

 

女 早く話しなさいよ!

 

男 自分で腰折り続けたくせによく言うわ

 

女 秘密があるって言う彼氏の話を怒りもせずに

  受け止めてるって言ってんだから早く話しなさいよ!

 

男 なんか釈然とせんが・・・まぁいい

  いくぞ?  

 

女 はい、どうぞ

 

男 実は、俺・・・正義の味方なんだ

 

女 へ?

 

男 だから、正義の味方  

  ヒーロー

 

女 え、ちょっとまって、え・・・・

 

男 信じられないと思うがホントの事なんだ

 

女 ずるーい!自分だけ秘密の特殊能力なんてー!!

 

男 あ!?

 

女 だって、なにか特殊能力があるんでしょ

 

男 ああ・・・一応変身して身体能力が200倍になるんだが・・・・

 

女 あたしが怪人になって手に入れたいものを持ってるなんて!

 

男 別に俺は世界征服とかしたい訳じゃねぇんだよ

 

女 もったいなーい

 

男 もうちょっと普通の幸せを考えてもいいと思うんだ

 

女 だからしっかり彼氏だって作ってるじゃないの

 

男 その彼氏に怪人になって悪いなーとかは思わんのか

 

女 だから、ちゃんと下だけは残(しておくって)

 

男 下ネタはいいっつってんだろ!

 

女 じゃあそれが秘密?

 

男 今まで黙っていてすまない

 

女 まぁ、夜寝てる時に胸が光ったりしてたから、怪しいとは思ってたんだけど

 

男 なんでその時点で言わないの!?

 

女 あんまり触れられたくないんじゃないかと思って

 

男 気持ちはありがたいけど、自分でも初めて知って軽くショックだよ?

 

女 そういう人も居るのかなーって思ってたし

 

男 どう考えてもおかしいでしょ

 

女 男の人が寝てるとこなんて、そんなにじっくり見た事ないんだからしょうがないじゃない

 

男 ・・・・とりあえずそれは置いとこう

  まだ続き(があってな)

 

女 基本的には青白く薄ぼんやりと光っててね

 

男 人の話を聞けよおばかさん!

 

女 バカとは何よー!!折角だから教えてあげようと思ったのにー!!!

 

男 俺の体のことは後でいいんだよ!

 

女 解ったわよぅ

 

男 とにかく、こっからが重要な話なんだ

  お前の話を聞いて俺も驚いてるんだが・・・

 

女 ・・・・どうしたの?

 

男 俺は正義のヒーローです

 

女 それがどうしたの?

 

男 正義のヒーローが正義のヒーローたる所以とは何でしょう?

 

女 悪者を倒す?

 

男 その倒した悪者の中にカニ怪人がいたんだ・・・

 

女 ・・・・それって、まさか・・・

 

男 そう・・・お前の親父さんを殺したのは・・・俺だったんだ・・・

 

女 ・・・・

 

男 すまない・・・・

 

女 ・・・・貴方がお父さんを・・・

 

男 本当にすまない・・・俺にできる事ならなん(でもしよう

 

女 お父さんやったわね!

 

男 ・・・・は?

 

女 正義のヒーローにやられるなんて、怪人冥利に尽きるわよねー!!

  会社から不慮の事故とかっていう知らせだったから、

  てっきりホントに事故で死んだんだと思ってたのに、

  ヒーローと戦って倒されたんだったら、本望よねー

 

男 ちょっ・・・!いや、許して貰えるのはありがたいんだけどいいのか!?

 

女 うーん、良くはないけど、どうしようもない事だもん。

 

男 そりゃそうだけど・・・でも

 

女 それに、貴方は知らなかったんだもの。お父さんだって自分の意思で戦って倒されたんだし、

  文句なんて言えないと思うわ。

 

男 ・・・ありがとう

 

女 ふふー♪心の広い彼女に感謝しなさいよ♪

 

男 そうだな・・・こんないい女、2度と見つからないと思う

 

女 大事にしなさいよー?

 

男 ああ、一生大事にする

 

女 頼りにしてるわ

 

男 それじゃ就職は当然やめるんだよな?

 

女 なんで??

 

男 は?お前が悪の秘密結社に入ったら俺と戦う事になるかもしれないんだぞ?  

 

女 あ、それもそうか

 

男 自分から危険に飛び込むような事やめてくれよ

 

女 そうねぇ~・・・

 

男 おとなしく普通の会社入ってくれよ

 

女 あ!いい事思いついた

 

男 嫌な予感しかしねぇんだけど

 

女 聞いてもいないのに酷いわね

 

男 まぁとりあえず聞いてみるけど

 

女 就職はとりあえず辞めるわ

 

男 そりゃよかった

 

女 貴方と一緒に

 

男 俺と一緒に?

 

女 新しい秘密結社を作る!!!

 

男 は!?

 

女 二人で世界征服よ!!

 

男 嫌だよ!!

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